バドミントンダブルスの前衛を極める
ダブルスをやるにあたって、前衛となる場合は多々あると思います。
後衛はやるべきことがある程度明確なことに比べ、前衛は結構その場その場の判断が大きく左右されるポジションです。
前衛の仕事次第でダブルスの強さは当然大きく変わっていきますので、まだいまいち前衛の大切さや、やるべきことが見いだせていない方。
そういった方のために前衛のやるべきことを色々とご紹介していきますので、ダブルスをやる際の参考にしてください。
バドミントンのダブルス
最近ではオグシオペアの人気に始まり、タカマツペアのリオ五輪金メダル、同ペアやフクヒロペアが女子ダブルスが世界ランキングの1位に輝くなど、とても注目を浴びている種目です。
2対2で戦う種目で、シングルスと比べて非常に早い展開と長いラリーが見ものですね。
そんなダブルスはいざプレイしてみると意外と複雑で細かな動きなども多くあります。
その動きの中の一つにトップアンドバックというものがあり、その名の通りに前と後ろにプレイヤーがいる状態です。
この時に前衛と後衛という風に分かれ、それぞれがそれぞれの仕事をしっかりとこなす場面になっていきます。
このトップアンドバックは主に攻撃のときの状態なので、前衛も攻撃的な意味で前にいると思っていいでしょう。
後衛と比べると派手さは控えめですが、重要さは前衛のほうが高いと言っても良いかもしれませんので、前衛をしっかり出来るようにしてください。
前衛の基本
後衛が後ろにいるので、まえの空いたスペースを埋める役割となっていて、前衛の基本は言うまでも無いかもしれませんが、前に来たシャトルを取ることが基本的な仕事となります。
後衛が打ったスマッシュを相手がネット前に落としたりした際に拾うことが一番の仕事であり、前衛の腕の見せ所です。
これはあくまで基本ですので、ここから更に出来ることを増やすことと、一つ一つの精度を上げていくことが重要となっています。
例えば、相手のクロスの速いリターンなどが来た場合は、後衛はスマッシュのあとで対応ができないので前衛が遮断しなければなりません。
そういう返球に対してもきちんと対応できるようになること、そして相手が最も嫌がる返球を出来るようにするのが前衛としての本来の仕事となります。
前衛のコツ
前衛は当然前にいるのは当たり前ですが、ただ前にへばりついていればいいわけではありません。
立ち位置は前すぎす、なるべく多くの返球に対応できるように少し下がり気味で立っていてください。
そして、その返球に対しての対応ですが、少しでも早く対応できるように必ずやってほしいことがあります。
まずはラケットを必ず下にさげずに上に構えて、シャトルが来たらすぐ出せるようにすること。
もう一つは、常に動けるように体は小刻みなリズムを刻むようにしておくことです。
ただ待ち構えて来た球をとりあえず向こうに返しているだけの前衛では、そこまで相手からしても脅威ではありませんし、味方からしても最低限の仕事しかしてくれないそこまで頼りになる前衛ではありません。
相手の脅威をなるような前衛とはどんな前衛なのか、色々とご紹介していきます。
反応が早い前衛
前衛のシャトルに対する反応が早いと相手からすると非常に厄介な相手となります。
それだけで甘い球を打てなくなるので、ミスを誘ったり、後衛に仕事をさせやすくすることが出来るのです。
では、反応が早いとはどういうことなのかといいますと、相手の返球に対してほぼ同時、もしくは相手が打つよりも早くシャトルに向かってきてる前衛ですね。
ある程度の経験と判断力が必要ですが、ラケットをさげずに常にステップを踏むようにしていればそれなりの速さで対応することが出来ると思います。
前衛が速いと相手からすれば本当に脅威となりますので、まずはシャトルに対する反応速度を高められるようにしましょう。
更には、展開的に後衛の攻撃が続いていて、前衛はすることがないときでも集中して、相手に少しでもプレッシャーを与えるように、前に来たらすぐ行くぞみたいなプレッシャーも与えられれるように意識しましょう。
ミスを見逃さない前衛
これは後衛でもシングルスでも言えますが、相手のミスを見逃さないことがとても大事です。
特にダブルスの場合は展開がとても早く、一見そこまで悪くないようなショットでもミスショットにしてしまうことが出来るのです。
シングルスだったら多少のネットから浮いたくらいではそうそう叩かれることはありませんが、ダブルスではその少しの浮きが致命傷になります。
少しでも浮いたならすぐに叩ける前衛だとすると、相手からすればとても嫌な前衛ですし、味方からすればとても頼もしいですよね。
これが出来るためには、当然その浮いたたまえ追いつくスピードもそうですが、そこまで力はいらないので正確に打てるプッシュが重要です。
常にラケットを上げ、動ける状態にして浮いたらすぐプッシュ。
これが出来るとかなり強くなれますので、普段の練習からしっかりやってほしいと思います。
前衛が取るべき球
これが前衛にとっては結構厄介であり、判断が難しいところでもあります。
個人の身長などでも左右されてくることですが、前衛はどの範囲まで前衛の球と考えるべきなのか。
一つは、当然ですが真ん中より間に落下する球です。
ネット前などが主になりますが、相手の上げそこなった球など余裕を持って取れる場合は前衛が取るようにしましょう。
では、落下するのは後ろだけど高さ的には十分に取ることが出来る球はどうでしょうか?
ドライブ系の返球で、自分の頭程度の高さを通過しようとするシャトルですが、それなりに速い球なので下手するとこっちがミスしてしまう可能性も高いですが、これは前衛が取りましょう。
これを後衛に任せてしまうと、後衛もせいぜいドライブかネット前に落とすことしか出来ないので、こちら側が守備体型に変更になる恐れがあります。
その点、前衛が取ればすばやく相手にリターンできて、当てるだけでも良いので向こうに返せば相手もまた落とすか上げるかなのでこちらの攻撃が続きます。
では、頑張れば取れる場合はどうするべきか。
ジャンプすれば届く、ちょっと無理すれば取れる球の場合は素直に後衛に任せたほうが良いでしょう。
結局無理な体制で打ってもいい球は打てませんし、次の行動に支障が出て後衛の負担が増えてしまう可能性も高いです。
確かに、相手からすれば予想外に前衛が取れば意表を突かれることもあると思いますが、総じて考えるとデメリットのほうが多いので取らないほうが無難と言えるでしょう。
役割を明確にする
たまたま体育館で出会った人とコンビを組んだ、なんていうパターン以外は基本的に同じ人と何回か一緒に組むことがあると思います。
その中で、お互い息があって組むことになったペアはある程度の期間は組むでしょうし、場合によっては年単位で組むこともあるかと思います。
ですので、ダブルスではお互いの向き不向きを尊重して役割を明確にすることが大事だと思います。
両方が前衛後衛は最低限できなければならないの前提ですが、こういう返球が来た場合は取れそうならどっちが取る、これは取らないで、という感じで、お互いの得意分野を尊重する感じでルールぎめをすることも良いと思います。
代表的なのは高橋松友ペア
リオ五輪で金メダルをとった高橋松友ペアがいい例です。
彼女たちの理想の形は、高橋選手が後ろで松友選手が前に行くこと。
どっちが下がってもおかしくない場合、むしろ高橋選手より松友選手が下がったほうが良いんじゃないの?っていう場面でも、出来る限りは高橋選手が後ろに下がり、松友選手が前に行く形を取っています。
二人共金メダルペアですし、当然何をやらせても非常にうまいのですが、その中でも特に高橋選手のスマッシュ、そして松友選手のネット際が秀でてるということでこの形を取っています。
別に松友選手が後ろでも十分に戦えるのですが、彼女たちの中でより勝つための方法として考えたのでしょう。
このように、お互いの中でルールを決めて、より自分たちがベストな形で戦える方法をしっかり決めるのもとても大事なことですので、長く組むことになりそうな場合は役割分担もとても大事なことです。
ワンランク上の前衛
ここから先はかなりハイレベルで、意思疎通が大事になってきますが、前衛にはある種の読みや勘が重要になってきます。
それなりの経験値が物を言いますが、このパターンは次はここに返すだろうという先読みで動く感じですね。
これは相手からすれば成功されたら非常に厄介ですし、とても効果的ですが、当然外れることや裏をかかれることもあります。
その際に後衛がしっかりフォローできるような関係を築くことが大事ですね。
これが出来るためには上記の反応の速さやラケットさばきが重要です。
あまりに適当に動きすぎると後衛からは邪魔者扱いされてしまいますので、きちんと経験と実力をつけた上でやってほしいことなので、ペアとしてもある程度のレベルになってから挑戦してみてください。
前衛の理想
ここからはあくまで理想の前衛ですので、いつかはこうなれるといいなぁという感じで読んでください。
前衛の理想としては、ネット前で浮いた球は確実に仕留めれて、ミスはせず次の展開を有利にする返球が出来て、相手に対して自分が前にいるだけでプレッシャーを与えることが出来るような前衛であると思います。
そして、後ろにいる相方のことを全力で信頼してあげれる前衛であることも大事でしょう。
後ろに上がるたびにチラチラ確認したり、ミスしないか心配するような前衛では後衛も気持ちよくプレイできません。
たとえ後衛が失敗しても、前衛の自分が取り戻すから心配しなくていいよ、そんな風に言えたり、思わせてあげられるのが最高の前衛でしょう。
まとめ
前衛に大事なのは打球に対する反応と、それを少しでも早くする準備です。
何度もいいましたが、ただ前にいてネット前に来たら取るだけの前衛では、ただ前にいるだけと言ってもいいかもしれません。
前にいることでより展開を有利にでき、なおかつ自身が決めることも出来る、そんな前衛がやはり求められるでしょう。
展開によっては前衛は出番が少ないこともありますが、たとえ打っていないときでも存在が相手にプレッシャーを与えるような動きなども出来るようにしましょう。
後衛に比べると派手さはない前衛ですが、前衛のうまさが試合を決めると言っても過言ではないので、ぜひ最高の前衛を目指して頑張ってください。